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イタリアの世界遺産 世界唯一の八角形の城 「カステル・デル・モンテ城」

SPOTTOWN 投稿者: 吉川由美
イタリアの世界遺産 世界唯一の八角形の城 「カステル・デル・モンテ城」

イタリア南部、長靴のかかとの辺りに位置するプッリャ州アンドリアの郊外に、名君として知られた神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ2世(フェデリコ2世)が建てた「カステル・デル・モンテ城」があります。イタリア語で「カステル」は城、「モンテ」が山で「山の城」を意味し、1240年に狩猟時の居城として建てられました。
アルタムルジャ国立公園の標高540mの小高い丘に静かにたたずむこの城は完全な8角形で、北ヨーロッパ、イスラム圏と古代の建築様式が見事に融合していることから、1996年に世界文化遺産に登録されました。
8角形は外観のみならず、城の内部のあちらこちらに「8」にこだわった設計がなされており、それにまつわるミステリーも話題となっています。1ユーロセント硬貨の裏面にもなっている「カステル・デル・モンテ城」の謎をご紹介します。


最初の近代人、フリードリヒ2世

この城を建てたフリードリヒ2世は、父ハインリッヒ6世からドイツ王位を、母コンスタンツェからシチリア王位を継ぎ、 1220年から30年間、神聖ローマ帝国皇帝となり、1229年には十字軍遠征でイスラム教国アイユーブ朝の君主、アル・カーミルと和解を成立させ、エルサレム王ともなった唯一の皇帝です。政治や軍事のみならず、アラビア語、フランス語など6カ国語を操り、医学、法学、文学、天文学、数学などあらゆる面に造詣が深い、時代に先駆けた近代的君主でした。
キリスト教のみならず他宗教にも寛容で、それを示すかのように「カステル・デル・モンテ城」は当時、キリスト教の聖地とされていたシャルトルとイスラム教の聖地メッカの2点を結ぶ直線上に建てられています。
その人生は十字軍、北イタリア支配のための戦い、教皇との争いに終始されましたが、「王座上の最初の近代人」「世界の驚異」と称され、早く生まれすぎた皇帝、中世で最も進歩的な君主と評されています。


随所に「8」を意識した構造

この城の魅力は外観の造形美だけではありません。フリードリヒ2世は自身も設計に加わり、城に黄金比を用いた八角形を象徴として取り入れました。
「8」という数字はキリスト教では「イエスの復活」を意味する数字、イスラム教では天国を表す吉数で、イエスの死と復活を意味する洗礼の聖堂は八角形で造られるように、全体を八角形にし、中央には八角形の中庭を、その回りの8つのコーナーには八角形の小塔を配しました。
2階には部屋が8つあり、全ての部屋の装飾や柱頭にも8枚の葉や花びらをあしらうなど、随所に「8」という数字にこだわって設計されました。
屋根の貯水槽に貯まった雨水を各部屋に供給するなど、イスラムの進んだ文化と技術も取り入れられています。


天文学的にも数学的にも正確な黄金比

またこの城は、天文学的にも数学的にも正確に黄金比を用いて設計されたことがわかっています。
ユリウス暦の8番目の月にあたる月の8番目の日、現在の10月8日には南西の高窓から中庭側の低窓まで太陽光が一直線に入り、春分と秋分の日の正午には建物の影が八角形の中庭の1辺とぴたりと重なります。
影の長さは日時計の役割を果たし、夏至の夜は八角形の中庭から空を見上げると、頭上には今も当時と同じようにこと座の1等星ベガが輝いています。
「8」にこだわる建築だけでなく、天文学的、数学的に緻密に計算された設計ともなっています。
フェデリコ2世が生涯の幕を閉じたのは1250年。
それぞれの数字を分解すると1+2+5+0=8と、またしても8という数字が浮かび上がります。


イスラムのスルタン、アル・カーミルとの交流

キリスト教文化とイスラム文化が融合するパレルモで生まれ育ったフリードリヒ2世は、教皇庁や北イタリアの都市国家と対立し、ローマ教皇から2回破門されるなど波乱の人生を歩みました。
その中で一条の光明といえるのがイスラムのスルタン、アル・カーミルとの友情で、1229年のエルサレム返還交渉の際にアラビア語で書簡をやり取りして互いを認めあった2人は、1238年にカーミルが亡くなるまで交流を深めました。
19世紀にフリードリヒ2世の遺体が学術調査を受けたとき、棺の中に眠る彼はイスラム風の衣装を身にまとっており、シャツの袖にはアラビア語で「友よ、寛大なる者よ、誠実なる者よ、知恵に富める者よ、勝利者よ」というカーミルに向けられたと思われる言葉が刺繍されていたことが記録に残っています。
十字軍とイスラムという立場を超えた真の友情の証といえるでしょう。


この記事の著者
こんにちは!台北在住の専業主婦の吉川です♪ 在住者だからこそ知っている台湾の生情報やお薦めのレストラン、旅行会社に勤務しながら、趣味と実益を兼ねて旅した世界50カ国の都市の見どころや観光ポイントをた~くさんご紹介させていただきます♪

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