ドイツの首都ベルリンは数奇な運命をたどってきた街。18世紀以降、プロイセン王国やドイツ帝国などの都として発展しますが、第二次世界大戦で焦土となり、戦後はベルリンの壁によって東西に分断。1989年に壁が崩壊した後、1990年10月3日に東西ドイツが統一して再び首都として生まれ変わりました。1894年に完成した連邦議会議事堂もまた、不審火によって炎上するなど波乱の歴史を歩みました。1999年に修復が施されて全面ガラス張りのドームが新しく誕生し、ベルリンを代表する現代建築のひとつとして話題を集めています。今回は内部見学はもちろん、食事までできる連邦議会議事堂の楽しみ方をご紹介します。
オープンな政治を象徴

1999年の修復の設計をしたのは、イギリス人建築家ノーマン・フォスター。彼は火災で焼失したドームに着目し、ガラスで再現するというモダンかつ斬新な手法を取り入れました。高さ23メートル、直径40メートル、8,000トン分のガラスを使用したドームにはらせん状のスロープが設けられ、ゆっくり上がりながら眼下にある議場が見れるように設計されています。会議の様子をオープンにすることによって、議会の透明化を図る意図もあります。ガラスは太陽の動きに合わせて角度を変えられるようになっており、内部を支える鏡張りの柱とともにドーム内を光で満たしています。ドーム屋上のテラスからは市街が360度見渡せ、ベルリンの眺望が一望できます。
見学は事前予約が必要

現在、連邦議会議事堂の入場は事前予約制で、ドイツ連邦議会のウェブサイトから希望日の2日前までに申し込みが必要です。レクチャー付き、ガイドツアー付き、見学のみ(音声ガイド付き※日本語なし)の3パターンあり、いずれも無料です。訪問時間は午前0時(最終入場は22時)までで、夜間は比較的空いていて夜景も楽しめます。急に思い立った場合でも見学は可能で、シャイデマン通り南側にあるサービスセンター(Serviceaußenstelle des Besucherdienstes)で、人数に空きがある場合のみ2時間前まで受け付けています。サービスセンターの利用時間は毎日8時から20時までです。当日は予約確定書とパスポートをお忘れなく。入場前に手荷物検査があります。
ルーフトップレストラン利用で楽々入場

連邦議会議事堂に入場する方法はもうひとつ!ガラスドームに隣接するレストラン「ケーファー・ダッハガルテン」を予約すると、待ち時間なしで入場できます。ドイツの有名高級デリカブランド、ケーファー直営のモダンなドイツ料理店で、地元の厳選素材を使った新鮮でヘルシーな料理は地元でも人気です。ガラス張りの店内からはベルリンの街が一望でき、舌も眼も満足できます。朝食セットは15ユーロ~、ランチ以降のメインディッシュは20ユーロ~で、てんとう虫がかわいいカップはお土産として購入も可能です。座席のキープは予約時間から30分まで、予約時に窓側の席のリクエストを忘れないように♪
現代のベルリンを彩る現代建築
激動の時代を経て新生ドイツの首都となったベルリンの街には、近代的な建築物が次々と建設され、新たな街づくりが急ピッチで進められました。ベルリンの壁が撤去された市内中心部のポツダム広場は、壁の遺構と共にソニーセンターなど多くの高層ビルや大型娯楽施設が林立する巨大なビジネス・商業エリアに再編され、世界的な建築家たちが手がけたスタイリッシュな現代建築は再生ベルリンの象徴となって、歴史と共存して建っています。連邦議会議事堂もそのひとつで、ヒトラー率いるナチス・ドイツが不審火を利用して勢力を拡大した場所は、世界中から人々が集う観光スポットに変貌を遂げ、今日も多くの観光客を迎えています。
