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400年以上の歴史を誇る古典庭園 上海「豫園」

CULTURESPOT 投稿者: 吉川由美
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上海で見逃せない観光地といえば、中国江南庭園の代名詞ともいえる豫園でしょう。2万平方メートルもの広大な敷地には、私たちが思い描く古の中国の庭園美がいまもそのまま広がっています。豫園はもともとは潘允瑞という四川省の役人の私邸で、1559年から18年もの歳月をかけて故郷を懐かしむ両親のために造られました。当時は今の2倍もの面積でしたが、1956年に改修・整備され、敷地の半分は現在の豫園に、半分は豫園商城という商業エリアに分割され、現在に至っています。緑多い豫園は大都会上海のオアシスともいえる場所。しばし古典庭園の世界にタイムスリップしてみましょう。


静かに時を重ねてきた風情ある楼閣

園内は5つの風景区と内園に分かれ、明代の造園の名匠・張南陽が造り上げた江南式庭園には随所に趣ある楼閣が配されています。門をくぐってまず目にするのは五穀豊穣を祈念する「三稲堂」で、豫園で最も古く、釘を1本も使わず建てられています。「仰山堂」は池の向こうの築山を愛でるお堂で、築山の山上にある望江亭は当時最も高い場所にあり、ここから黄浦江が望めたといわれています。竹、蘭、菊などの彫刻が施された「万花楼」の庭に立つ樹齢400年の大イチョウは、豫園の設立当初からあるものです。「点春堂」は歴史の舞台となった場所で、1853年の太平天国の乱に呼応し武装蜂起した小刀会の本部がここに置かれ、鎮圧後に破壊されましたが、1868年に再建されました。潘允瑞の書斎だった「玉華堂」や「和煦堂」に置かれている200年前の榕樹の家具も必見です。最後にたどり着く内園にはその名の通り、静かに「静観堂」がたたずんでいます。


太湖石の名石「玉玲瓏」

これらの楼閣のいくつかの庭を彩るのは、太湖石と呼ばれる観賞用の奇石で、これも豫園の見どころのひとつとなっています。太湖石は、上海の西約70キロに位置する太湖の底で長い歳月の末に泥が固まって石となり、水の侵食を受けて表面に多くの穴があいた石灰岩です。特に玉華堂の池にある「玉玲瓏」は名石中の名石といわれ、穴が多く複雑な形状をしています。これは芸術に秀でていた北宋の第8代皇帝徽宗(きそう)が取り寄せたもので、政治は臣下に任せ自らは風流の遊びに浸り、このように名園を造るため南方から巨石や巨木を運ばせて浪費したことが、国を滅ぼす一因となりました。「玉玲瓏」は歴史の悲哀を誘ったいわくつきの名石ともいえるでしょう。


ふっと出会う美のエッセンス

かつて「華東の名園」と称えられた豫園には実に40カ所以上もの見どころがあり、庭園の中にも考え抜かれた美のエッセンスが詰まっています。一番有名なのが「龍壁」と呼ばれる龍の体に見立てた塀の上の瓦の装飾です。本来龍は皇帝の象徴であるため、5本ある足の爪をあえて4本にして“龍ではない”と申し開きできるようにしたそうです。今にも動きそうな迫力ある龍壁は園内に5カ所あります。エリアを分ける回廊や門にもご注目!曲がりくねった回廊やそこかしこにある門の入り口は花や瓶や壺、雲などさまざまな形をしています。奥行きに深みを持たせ、門の向こうの風景を別世界として鑑賞できるように計算され、見る位置や角度でいろんな景色を楽しめるように工夫されています。透かし窓や敷石にもはっとする驚きがあります。


江南屈指の古典庭園

古典的な庭園美が堪能できる豫園は、現在、全国重点文物保護単位という中国の文化遺産になっています。緑豊かな庭園と風情ある建物が一体となり、コイが泳ぐ池や四季折々の花や植物とも調和して、幽玄な雰囲気を漂わせています。季節ごとに違う景観を楽しめるのも魅力のひとつで、その時々の風景を楽しみながら気に入った場所で足を止める、そんな気ままな散策がお勧めです。一歩外に出ると、買い物客でごった返す豫園商場で、門外の喧騒とはまさに別世界。古来から人々を癒やしてきた豫園は、いまも訪れた人々の心にやすらぎと静かなひとときをもたらしています。


この記事の著者
こんにちは!台北在住の専業主婦の吉川です♪ 在住者だからこそ知っている台湾の生情報やお薦めのレストラン、旅行会社に勤務しながら、趣味と実益を兼ねて旅した世界50カ国の都市の見どころや観光ポイントをた~くさんご紹介させていただきます♪

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