まらいし
道端に横たわる男性器形の石。対岸の「フグリ山」と一対とする説がある。
祝戸の集落から坂田へ向かう道の脇に、細長い花崗岩が横たわっています。長さ約125センチ、幅約65センチ。先端が丸く縁取られ、その下に線が一周しています。男性器をかたどったものと見られ、「マラ石」と呼ばれてきました。
かたわらの説明板は、明日香村にある謎の石造物の一つとしたうえで、「本来は真っすぐに立っていたともいわれている」と記しています。いつ、誰が、何のために据えたのかは分かっていません。
地元では、飛鳥川をはさんだ対岸の丘陵を「フグリ山」と呼び、マラ石と一対のものと考える説があります。川をはさんで、男性を象徴するものが向かい合っているという見立てです。
こうした男女一対の石は陰陽石(いんようせき)と呼ばれ、各地で豊穣や多産の象徴として祀られてきました。明日香村にも亀石や猿石、酒船石など用途の分からない石造物が残っていますが、マラ石はそのなかでも素朴で、説明のないまま道端に置かれています。
説明板は「子孫繁栄や農耕信仰に関係した遺物と考えることもできよう」と結んでいます。
同じ飛鳥川の上流では、稲渕に男綱、栢森に女綱が川をまたいで架けられ、毎年掛け替えられています。男女一対のものを川に祀る習俗が、この谷には重ねて残っていることになります。
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