奈良県高市郡明日香村。飛鳥時代に都が置かれたこの地に、古墳や石造物、寺社の跡が点在します。歩いて出会える場所を、ひとつずつ。
COLUMN

679年、天武天皇は吉野で六人の皇子に、争わないことを誓わせました。守られなかったことはよく知られています。ただ、一人ずつその後を追っていくと、殺し合いだけでは終わっていないことが見えてきます。

飛鳥のいちばん奥から山に入り、尾根をひとつ越えると吉野です。この道を、大海人皇子は追われるようにして越えました。同じ道を、持統天皇は在位のあいだに三十回以上も往復しています。

壬申の乱で軍を預かったのは、十九歳の長男でした。母の身分が低く、位からは遠いとされた人です。ただ、その死の扱いは、皇子のものにしては大きすぎました。