めづな
飛鳥川の上流に渡された稲藁の綱。下流の男綱と対になっている。
栢森(かやのもり)の集落の入口で、飛鳥川の上に稲藁の綱が渡されています。中ほどに下がっているのは、女性をかたどったものです。稲渕の男綱と対になっています。
綱は毎年掛け替えられます。一年のあいだ風雨にさらされて色を落とし、また新しいものが架かります。
稲渕と栢森の両大字に伝わる行事です。子孫繁栄と五穀豊穣を祈り、あわせて悪い病がこの道とこの川を通って村へ入ってくるのを押しとどめるためのものと伝えられます。
栢森は仏式です。福石(ふくいし)と呼ばれる石の上に祭壇を設け、僧侶の読経のあとに綱が架けられます。神主を招く稲渕の男綱とは、同じ行事でありながら作法が違います。
同じ谷のなかで、下流は神式、上流は仏式。どちらかに統一されることなく、それぞれの集落のやり方のまま続いています。
綱は飾りではなく、外から入ってくるものを止めるための境です。村へ通じる道と川に架けることで、そこから先へは入れない、という意味を持たせています。
栢森は飛鳥川をさかのぼった先にある集落で、ここから上流は芋峠を越えて吉野へ抜ける道になります。村のいちばん奥に架かる綱、という位置です。
下流の稲渕には男綱(おづな)があります。勧請橋のあたりで同じように飛鳥川の上に架かっており、こちらは神式で、飛鳥坐神社の神主を招いて祈祷が行われます。
県道15号を稲渕からさらに上流へ進みます。栢森の集落に入る手前で、頭上に綱が見えます。車道から見上げられる位置にあります。
男綱からは車で数分、歩くと30分ほどです。両方を見ると、同じ行事が集落ごとに違う形で残っていることが分かります。
掛け替えの日に行くと、綱を作るところから見られます。
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