飛鳥の明日香の里を(明日香村)/散策スポット/吉備姫王墓・猿石
きびひめのおおきみのはか・さるいし
墓域に四体の石像「猿石」が並ぶ。用途は今も謎のまま。
欽明天皇陵の南に隣接する、吉備姫王(きびひめのおおきみ)の墓です。宮内庁が管理しています。
ここが知られているのは、墓の柵の内側に4体の奇妙な石像が並んでいるからです。「猿石」と呼ばれています。
吉備姫王は、欽明天皇の孫にあたる女性です。茅渟王(ちぬのおおきみ)との間に、のちの皇極天皇(斉明天皇)と孝徳天皇を産みました。
つまり、二人の天皇の母にあたります。643年に没したと『日本書紀』は伝えます。
4体の石像は、もとからここにあったものではありません。元禄15年(1702年)、近くの水田から掘り出されたと記録されています。
その後、この墓の域内に移されました。掘り出された場所は欽明天皇陵の南側の田とされ、本来どこに、どう置かれていたのかは分かっていません。
4体はそれぞれ、通称で「女(おんな)」「山王権現(さんのうごんげん)」「僧(法師)」「男(おとこ)」と呼ばれています。いずれも表と裏の両面に顔が彫られており、片面だけの像ではありません。
猿に似ているところから猿石と呼ばれますが、実際に何を表したものかは不明です。渡来人を象ったとする説、外国から来た人を見た記憶が形になったとする説、道祖神のようなものとする説などがあります。
制作年代もはっきりしません。飛鳥時代とする見方が一般的ですが、確証はありません。
明日香村には、亀石、酒船石、鬼の俎・鬼の雪隠、二面石など、用途の分からない石造物が点在しています。猿石もそのひとつです。
これらがまとまって残っているのは、この地が長く都であったこと、そして中世以降に大きく開発されなかったことの両方によります。答えの出ない石が、そのまま田や丘に置かれ続けています。
近鉄飛鳥駅から徒歩約10分。柵の外から見学します。見学は無料です。
なお、高取城跡へ向かう道の途中にも猿石が1体あります。ここから掘り出されたもののうちの1体が運ばれたと伝えられています。
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