飛鳥の明日香の里を(明日香村)/散策スポット/天香山神社
あまのかぐやまじんじゃ
大和三山のひとつ、天香久山の北のふもとに鎮まる古社。占いの神を祀り、持統天皇の「衣干したり」の歌の山を間近に感じられる。
大和三山のひとつ、天香久山(あまのかぐやま)の北のふもとにある神社です。藤原宮跡から東へ1キロほど。田のあいだの道から鳥居をくぐると、杉の大木に囲まれた静かな境内が広がります。
平安時代の『延喜式』神名帳に「天香山坐櫛真命神社(あめのかぐやまにますくしまちのみことじんじゃ)」として載る、古くからの社です。入口の社号標にも「式内大社」と刻まれています。
祀られているのは櫛真智命(くしまちのみこと)。占いをつかさどる神とされます。
『古事記』の天岩戸の場面では、天香山の雄鹿の肩の骨を抜き取り、天香山の「ははか」の木を取って焼き、占いをしたと語られます。ははかはウワミズザクラのこととされ、境内にもその木が植えられています。神話の時代から、香久山は神意をうかがう山でした。
大和三山のうち、天香久山にだけ「天(あま)の」が付きます。天から降りてきた山だという言い伝えがあるためで、『伊予国風土記』の逸文には、天から降りた山が二つに分かれ、一方が大和の香具山になったという話が残っています。
山の頂には国常立神社、南のふもとには天岩戸神社があり、山全体が信仰の場になっています。
『万葉集』の持統天皇の歌「春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣干したり 天の香具山」に詠まれたのが、この山です。持統天皇が営んだ藤原京からは、南東に香具山が見えました。
舒明天皇が香具山に登って国見をした歌も『万葉集』に残ります。都の人々にとって、香具山は季節の移り変わりを知らせ、王が国を見渡す、特別な山でした。
藤原宮跡から東へ歩いて15分ほど。境内の脇から天香久山の山頂へ登る道もあります。藤原宮跡の野に立って香具山を眺め、それからふもとの神社を訪ねると、持統天皇の歌の景色が近くなります。
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