あすかがわ
万葉集にも詠まれた、村を貫く川。
明日香村の南東の山地に源を発し、村を南から北へ貫いて流れる川です。橿原市と田原本町を経て、川西町で大和川に合流します。大和川水系の支流のひとつです。
川幅は数メートルほど。ふだんは穏やかな流れで、石積みの小さな堰がいくつも架かっています。
『万葉集』にくり返し詠まれてきた川で、「明日香川」と表記されます。とくに知られているのが、後の『古今和歌集』に収められた次の一首です。
世の中は 何か常なる あすか川 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる
深い淵だったところが、一晩の増水で浅い瀬に変わってしまう。その移ろいやすさを、世の無常になぞらえた歌です。実際に流れは細く、川底の石がよく動きます。
「明日香」と「明日」を掛け、明日を思う気持ちを詠み込んだ歌も多く残ります。
飛鳥時代には、宮のすぐそばを流れる川でした。飛鳥宮跡や飛鳥京跡苑池は川の東岸に接しており、この水が都の暮らしを支えていたことになります。
水落遺跡の漏刻も、飛鳥川沿いの平地に置かれました。水を引き、時を測り、庭に流す。飛鳥という都は、この川を軸に組み立てられています。
上流の稲渕・栢森・入谷あたりは「奥飛鳥」と呼ばれ、棚田と集落が織りなす景観が2011年に国の重要文化的景観に選ばれました。岸の柿の木が枝を水面まで伸ばし、季節ごとに姿を変えます。
稲渕には川を渡る飛び石があり、その少し上流には男綱、栢森には女綱と呼ばれる大きな綱が川をまたいで架けられています。毎年1月に掛け替えられる勧請縄です。
下流に向かうにつれて川は平地を流れ、田のあいだを抜けていきます。
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