飛鳥の明日香の里を(明日香村)/散策スポット/談山神社
たんざんじんじゃ
大化改新の密談の地と伝わる山中の社。木造十三重塔は世界で唯一。
明日香村の東、多武峰(とうのみね)の山あいにあります。祀られているのは藤原鎌足です。
社の名は、この山で交わされた話に由来します。中大兄皇子と中臣鎌足が、蘇我入鹿をどう討つかを語り合った場所。その山を「談(かた)らい山」と呼び、のちに談山神社の名になった——そう伝えられています。
645年の乙巳の変は飛鳥の宮で起きましたが、その相談はここで行われたことになります。本殿の裏手から山道を上がると、「談山」と刻まれた石碑が立っています。
境内でまず目を引くのが十三重塔です。屋根が十三段、細く高く重なっていく姿は、ほかでは見られません。木造の十三重塔として現存するのは、世界でここだけです。
高さは約17メートル。いま建っているものは享禄5年(1532年)の再建で、屋根は檜皮葺きです。秋にはまわりのカエデが色づき、朱の塔と赤い葉が重なります。
この塔の由来については、鎌足の墓を摂津から多武峰へ移し、その上に建てたと伝えられています。建てたのは鎌足の長男・定恵(じょうえ)だとされます。ただしこの伝えは、定恵の没年と噛み合いません。
拝殿は永正17年(1520年)の建立です。山の斜面に長い柱を立て、その上に床を張り出す懸造(かけづくり)で、下から見上げると柱が林のように並びます。
軒下には吊り灯籠がずらりと下がっています。回廊に上がると、灯籠ごしに多武峰の山が見えます。堂の外と内を仕切る壁が少なく、床に座ると山がそのまま目の前にある。
本殿は嘉永3年(1850年)の再建です。極彩色で飾られた三間社春日造で、日光東照宮はこの社を手本にしたとも言われます。
ここは明治のはじめまで、妙楽寺(みょうらくじ)という寺でした。多武峰妙楽寺、あるいは多武峯寺。鎌足を祀る聖霊院と、塔と、堂が一つの山にあり、神と仏が分かれていませんでした。
明治の神仏分離によって寺は廃され、談山神社になります。いま神社の建物として見ているものの多くは、もともと寺の堂です。神廟拝所(じんびょうはいしょ)と呼ばれる建物は、講堂だったものです。
拝殿の下に、けまりの庭と呼ばれる平地があります。中大兄皇子と鎌足が出会ったのは蹴鞠の会だった、という『日本書紀』の話にちなむものです。
毎年4月29日と11月3日に「けまり祭」が行われ、装束をつけた人たちが鞠を蹴ります。
明日香村の外、桜井市多武峰にあります。石舞台古墳から車で20分ほど。公共交通なら、近鉄・JR桜井駅から談山神社行きのバスで約25分、終点から徒歩約3分です。
入口から本殿までは石段が続きます。山の上なので、里より数度気温が低くなります。
紅葉の名所として知られ、11月中旬から下旬にかけて境内は人で混みます。朝の早い時間なら、灯籠の並ぶ回廊を静かに歩けます。
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