飛鳥の明日香の里を(明日香村)/コラム/記録ではなく記憶に残る ― 飛鳥ハーフマラソンで史跡と棚田を走る

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記録ではなく記憶に残る ― 飛鳥ハーフマラソンで史跡と棚田を走る

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毎年3月、明日香村の史跡と棚田を3,000人のランナーが駆け抜けます。キトラ古墳を出発し、石舞台古墳や稲渕の棚田をめぐる飛鳥ハーフマラソン。起伏の多いコースと、紙コップを使わない給水、ゴールで手渡されるいちごまで、この村らしさの詰まった大会です。

2026年の飛鳥ハーフマラソン。冬枯れの棚田のあいだを上っていく道に、ランナーの列が続く。道ばたには菜の花

村を走る、3,000人

飛鳥ハーフマラソンは、明日香村を舞台に毎年3月に開かれるハーフマラソン大会です。主催は飛鳥ハーフマラソン実行委員会・明日香村・明日香村教育委員会。定員は3,000人。その日ばかりは、村じゅうの道がランナーで埋まります。

最初の大会は、新型コロナウイルスの影響で2021年にオンラインで開かれ、全国から約1,400人が参加しました。実際に村を走る第1回は2022年3月。2026年3月8日には5回目を迎え、約3,000人が出走しています。

実際に走ったランナーの声をもとに選ばれる「全国ランニング大会100撰」にも、2年続けて選ばれています。

史跡の道から、里山の道へ

スタートとゴールは、キトラ古墳のそばの四神の館。距離は21.0975キロで、5か所の折り返しをはさみながら村の中をめぐります。

走りはじめは史跡の道です。天武・持統天皇陵を過ぎ、川原寺跡と橘寺のあいだを抜け、甘樫丘、飛鳥水落遺跡、万葉文化館へ。世界遺産「飛鳥・藤原の宮都」の構成資産が次々に現れます。

石舞台古墳を過ぎると、里山の道に入ります。細川の棚田へ上り、阪田の棚田、飛鳥川に渡された男綱、稲渕の棚田を走ります。最後は高松塚古墳のある国営飛鳥歴史公園を通って、ふたたび天武・持統天皇陵を折り返し、四神の館へ戻ります。

記録ではなく、記憶に

明日香村は丘と谷が入り組んだ土地で、コースにも上り下りが続きます。大会自身が、きつい高低差のあるコースだと案内しており、「記録ではなく記憶に残る、そんな大会を目指しています」と掲げています。

前半の山場は、石舞台古墳を過ぎてから細川の棚田の近くを通って上っていく激坂です。棚田の斜面に沿って上りが続き、歩いて上るランナーの姿も多く見られます。ここを越えると、いよいよ里山の道に入ります。

制限時間は3時間30分。途中に関門が3か所あり、それぞれ通過の締め切り時刻が決められています。

走りながら目に入る景色も、この村ならではです。明日香村は「明日香法」によって村全体の歴史的風土が守られ、建物の高さや色が抑えられています。コンビニエンスストアまで瓦屋根という村の中を、古墳や寺の跡を横目に走ることになります。

紙コップのない給水所

この大会の給水所には紙コップがありません。ランナーは自分のボトルやカップを持って走り、給水所の水を自分で汲みます。出場の条件にも、給水用具を持参して携行することが含まれています。

水は奈良の名水「ごろごろ水」。給食所ではノンアルコールの甘酒や柿の葉寿司が用意され、ゴールでは明日香村生まれのいちご「あすかルビー」が手渡されます。

最後尾から追い抜いていく人

毎年のゲストは、市民ランナーとして知られる川内優輝さん。いちばん後ろからスタートし、飛鳥の道でランナーを次々に追い抜いていくのが恒例になっています。

走らない人も楽しめる

大会の日には、会場で「飛鳥ハーフマラソンフェスタ」が開かれます。村の店が集まって飲食や物販の店を出し、トークイベントや子ども向けの遊び場も設けられます。

第1回の大会は「走ってタネをまこう」を掲げ、参加費の一部を菜の花のタネの購入などにあてました。ランナーが走るほど村の景色が豊かになる、という考え方です。

支える人たち

特別協賛の長谷工グループは、2017年に明日香村と官民連携の協定を結んでおり、大会の当日には社員約300人がボランティアとして走路の安全管理や給水・給食を担っています。村の人々とともに、多くの人の手で支えられている大会です。

次の大会

2027年の大会は3月14日に予定されています。一般のエントリーは2026年10月に受付が始まり、数日で締め切られました。最新の情報は大会の公式サイトで確かめてください。

走らない日に、同じ道を歩いてみるのもおすすめです。キトラ古墳から天武・持統天皇陵、石舞台古墳、稲渕の棚田へ。ランナーが一日で駆け抜ける21キロには、明日香の見どころがほとんど入っています。

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