飛鳥の明日香の里を(明日香村)/コラム/村の暮らし

毎年3月、明日香村の史跡と棚田を3,000人のランナーが駆け抜けます。キトラ古墳を出発し、石舞台古墳や稲渕の棚田をめぐる飛鳥ハーフマラソン。起伏の多いコースと、紙コップを使わない給水、ゴールで手渡されるいちごまで、この村らしさの詰まった大会です。

2026年の案山子コンテストのテーマは「クスッ」。世界遺産に登録された村が、あえて笑いを選びました。9月26日・27日には案山子まつりが開かれます。

飛鳥川に、稲藁の綱が二本架かっています。下流の稲渕は神主を招き、上流の栢森は僧侶が読経する。同じ行事が、集落ごとに違うかたちのまま続いています。

田の縁に沿って、定規で引いたようにまっすぐ並ぶ赤。自然に生えたものではありません。人が球根を運んで置いたものです。

村の境を越えると、景色がはっきり変わります。飛鳥の風景が残っているのは偶然ではなく、この村だけを対象にした法律があるからです。

1972年に高松塚古墳の壁画を掘り当てたのは、関西大学の調査隊でした。その三年後に村で始まった公開講座は、いまも続いています。

2月の第1日曜、飛鳥坐神社の境内が人で埋まります。天狗が参拝者の尻を叩き、田を耕し、最後は夫婦の営みまで演じてみせる祭りです。

古墳と宮跡ばかり見て歩くと気づきませんが、この村の冬はビニールハウスの季節です。奈良で生まれた大粒のいちごが、そのなかで実っています。