飛鳥の明日香の里を(明日香村)/コラム/飛鳥・藤原の宮都 構成資産19件の一覧と巡り方 ― 半日・1日・2日のモデルコース
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2026年に世界遺産に登録された「飛鳥・藤原の宮都」。19件の構成資産を、場所と見どころがひと目で分かる一覧にまとめました。飛鳥駅から歩く定番コース、三つのエリアに分けた半日コース、奥飛鳥へ足を延ばすコース、1日・2日で全部をめぐるモデルコースを紹介します。
「飛鳥・藤原の宮都」は、2026年7月26日に世界文化遺産に登録されました。構成資産は19件。宮殿の跡、寺の跡、墓の三つの種類からなり、明日香村を中心に、北の橿原市と東の桜井市にまたがっています。
ほとんどが地下に眠る遺跡で、地上に見えるのは礎石や基壇、草地と説明板だけという場所も少なくありません。なぜこの19件が選ばれたのかは、コラム「日本という国のはじまり」で詳しく紹介しています。ここでは、実際に訪ねるための一覧と道順をまとめます。
飛鳥宮跡(明日香村岡)― 630年から694年まで、四つの宮が同じ場所に重なって建てられた宮殿の跡。見学は無料です。
SPOT飛鳥宮跡(伝 飛鳥板蓋宮跡)あすかきゅうせき複数の宮が重なる、飛鳥の政治の中心地。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「岡橋本」下車徒歩約5分スポットのページを見る →
飛鳥京跡苑池(明日香村岡)― 飛鳥宮に付属した庭園の跡。飛鳥宮跡の北西に接しています。
SPOT飛鳥京跡苑池あすかきょうあとえんち日本庭園の最古の例とされる、宮に付属した庭園跡。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「岡橋本」下車徒歩約5分スポットのページを見る →
飛鳥水落遺跡(明日香村飛鳥)― 中大兄皇子がつくった日本初の水時計の跡。見学は無料です。
SPOT飛鳥水落遺跡あすかみずおちいせき中大兄皇子がつくった日本初の水時計の跡。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「飛鳥」下車徒歩約3分スポットのページを見る →
酒船石遺跡(明日香村岡)― 丘の上の酒船石と、丘の下の亀形石造物からなる祭祀の場。酒船石は無料、亀形石造物は有料で公開時間が決まっています。
SPOT酒船石さかふねいし円と溝が刻まれた謎の石。丘の上の竹林に横たわる。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「万葉文化館西口」下車徒歩約5分スポットのページを見る →
SPOT亀形石造物かめがたせきぞうぶつ水を導く仕掛けをもつ、斉明朝の祭祀の場。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「万葉文化館西口」下車徒歩約3分スポットのページを見る →
飛鳥寺跡(明日香村飛鳥)― 日本最初の本格的な寺院。飛鳥大仏が今も同じ場所に座っています。拝観は有料です。
SPOT飛鳥寺・蘇我入鹿首塚あすかでら・そがのいるかくびづか日本最古の本格寺院。飛鳥大仏が今も同じ場所に座す。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「飛鳥大仏前」下車すぐスポットのページを見る →
川原寺跡(明日香村川原)― 天智天皇が母・斉明天皇を弔うために建てたと考えられる大寺の跡。寺跡の見学は無料です。
SPOT川原寺跡(弘福寺)かわらでらあと(ぐふくじ)飛鳥四大寺のひとつ。礎石が伽藍の規模を今に伝える。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「川原」下車すぐスポットのページを見る →
橘寺跡(明日香村橘)― 聖徳太子が生まれた地と伝わる寺。拝観は有料です。
SPOT橘寺たちばなでら聖徳太子の生誕地と伝わる寺。二面石が残る。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「川原」下車徒歩約3分スポットのページを見る →
山田寺跡(桜井市山田)― 倒れたまま埋もれた回廊が見つかった寺の跡。礎石と基壇が整備され、見学は無料です。
SPOT山田寺跡やまだでらあと倒れたまま埋もれた回廊が出土した寺院跡。アクセス:近鉄桜井駅からバス「山田寺跡」下車すぐスポットのページを見る →
檜隈寺跡(明日香村檜前)― 渡来系の東漢(やまとのあや)氏ゆかりの寺の跡。境内に十三重石塔が立ちます。
SPOT檜隈寺跡/於美阿志神社ひのくまでらあと/おみあしじんじゃ渡来系氏族・東漢氏ゆかりの寺跡。十三重石塔が立つ。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約20分スポットのページを見る →
石舞台古墳(明日香村島庄)― 盛土を失い、巨石の石室がむき出しになった方墳。蘇我馬子の墓とする説が有力です。見学は有料です。
SPOT石舞台古墳いしぶたいこふん巨石が積み上がった日本最大級の横穴式石室。明日香を象徴する風景。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「石舞台」下車すぐスポットのページを見る →
菖蒲池古墳(橿原市菖蒲町)― 家形石棺が二つ並ぶ方墳。石室は覆屋のなかにあります。
SPOT菖蒲池古墳しょうぶいけこふん家形石棺が二つ並ぶ、一辺約30mの方墳。石室は覆屋のなかにある。アクセス:近鉄岡寺駅から徒歩約15分スポットのページを見る →
牽牛子塚古墳(明日香村越)― 斉明天皇の陵とする説が有力な八角墳。2022年に復元整備が完成し、切石を積んだ斜面が丘の上で明るく光ります。
SPOT牽牛子塚古墳けんごしづかこふん八角形墳。斉明天皇の陵とする説が有力視されている。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約25分スポットのページを見る →
藤原宮跡(橿原市高殿町ほか)― 日本で最初の本格的な都城・藤原京の中心。季節の花畑でも知られます。見学は無料です。
SPOT藤原宮跡ふじわらきゅうせき日本初の本格的な都城の中枢。四季の花畑でも知られる。アクセス:近鉄大和八木駅からバス「橿原市藤原京資料室」下車ほかスポットのページを見る →
大官大寺跡(明日香村小山ほか)― 九重塔を備えた、飛鳥・藤原で最大の国家寺院の跡。
SPOT大官大寺跡だいかんだいじあと九重塔を備えた、飛鳥・藤原で最大の国家寺院跡。アクセス:近鉄橿原神宮前駅からバス、または飛鳥駅から自転車スポットのページを見る →
本薬師寺跡(橿原市城殿町)― 塔を二つ並べた双塔式の国家寺院の跡。礎石が当時の位置に残ります。
SPOT本薬師寺跡もとやくしじあと礎石が当時の位置に残る、双塔式伽藍の国家寺院跡。アクセス:近鉄畝傍御陵前駅から東へ徒歩約10分スポットのページを見る →
天武・持統天皇陵古墳(明日香村野口)― 天武天皇と持統天皇を合葬した八角墳。宮内庁が管理しており、鳥居の前から拝礼します。
SPOT天武・持統天皇陵てんむ・じとうてんのうりょう被葬者が記録から確かめられる、数少ない八角形の陵。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約10分スポットのページを見る →
中尾山古墳(明日香村平田)― 文武天皇の火葬墓とみられる小さな八角墳。
SPOT中尾山古墳なかおやまこふん文武天皇の火葬墓とみられる小さな八角形墳。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約15分スポットのページを見る →
キトラ古墳(明日香村阿部山)― 四神と天文図が描かれた石室で知られる円墳。隣の「四神の館」で原寸大の石室模型や映像を見られます。
SPOTキトラ古墳きとらこふん四神と天文図が描かれた石室で知られる、二段築成の円墳。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約20分スポットのページを見る →
高松塚古墳(明日香村平田)― 極彩色の壁画が見つかった円墳。近くの高松塚壁画館で、壁画を模写と模型で見られます。
SPOT高松塚古墳たかまつづかこふん極彩色の女子群像が発見された、戦後の考古学を代表する円墳。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約15分スポットのページを見る →
19件は、大きく三つのエリアに分かれます。飛鳥寺や飛鳥宮跡が集まる「飛鳥の中心」、天武・持統天皇陵から高松塚・キトラへ続く南西の「古墳の丘」、そして北の「藤原京」です。
移動は、村内をめぐる周遊バス(かめバス)、レンタサイクル、そして徒歩の組み合わせになります。中心エリアは歩いて回れる距離ですが、三つのエリアをつなぐなら自転車が便利です。
有料なのは飛鳥寺、橘寺、石舞台古墳、亀形石造物などで、それ以外の多くは無料でいつでも見られます。草地と説明板だけの場所も多いので、事前にスポットのページで何が見られるかを確かめておくと、現地での見え方が変わります。
飛鳥駅 → 鬼の俎・鬼の雪隠 → 天武・持統天皇陵古墳 → (亀石) → 川原寺跡 → 橘寺 → 石舞台古墳
近鉄飛鳥駅から歩きはじめる、いちばん手軽なコースです。駅から鬼の俎・鬼の雪隠までは徒歩12分ほど。天武・持統天皇陵はそのすぐ先にあり、ここから東へ向かう途中に亀石があります。川原寺跡と橘寺は道を挟んで向かい合い、橘寺から東へ1キロほどで石舞台古墳です。歩く距離は4キロあまり。構成資産4件に、鬼の雪隠や亀石といった飛鳥らしい石造物も加わります。帰りは石舞台のバス停から周遊バスに乗れます。
SPOT鬼の俎・鬼の雪隠おにのまないた・おにのせっちん斜面をはさんで残る、古墳の石室が分かれた姿。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約12分スポットのページを見る →
SPOT亀石かめいし愛嬌のある顔で親しまれる、明日香を代表する石造物。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約20分スポットのページを見る →
飛鳥水落遺跡 → 飛鳥寺 → 酒船石遺跡 → 飛鳥宮跡 → 飛鳥京跡苑池 → 川原寺跡 → 橘寺 → 石舞台古墳
8件を、歩いて3〜4キロほどでつなぐコースです。周遊バスの「飛鳥」で降りて水落遺跡から歩きはじめ、最後は石舞台古墳のバス停から帰れます。飛鳥寺から飛鳥宮跡までは、南へ歩いて10分ほど。川原寺跡と橘寺は道を挟んで向かい合っています。
牽牛子塚古墳 → 菖蒲池古墳 → 天武・持統天皇陵古墳 → 中尾山古墳 → 高松塚古墳 → 檜隈寺跡 → キトラ古墳
近鉄飛鳥駅を起点に、7件を自転車で5キロあまりでめぐります。八角墳が三つ(牽牛子塚・天武持統陵・中尾山)、壁画古墳が二つ(高松塚・キトラ)。墓の形で身分の序列を示した、藤原の宮都の時代を体で感じられるコースです。高松塚壁画館と四神の館にも立ち寄ると、壁画の姿まで見られます。
山田寺跡 → 大官大寺跡 → 藤原宮跡 → 本薬師寺跡
飛鳥の北東の山田寺跡から、藤原京の中心を抜けて西の本薬師寺跡まで、4件を5キロほどでつなぎます。自転車なら1時間あまり。藤原宮跡の東1キロほどには、持統天皇が歌に詠んだ天香久山と、ふもとの天香山神社があります。終点の本薬師寺跡からは、近鉄畝傍御陵前駅まで歩いて10分ほどです。
キトラ古墳 → 栗原塚穴古墳(文武天皇陵) → 朝風峠 → 稲渕の棚田(案山子ロード) → 男綱
世界遺産のキトラ古墳から東へ向かい、飛鳥川の上流、奥飛鳥の入口まで歩くコースです。宮内庁が文武天皇陵とする栗原塚穴古墳を過ぎ、坂を上がって竹やぶのあいだの細い道を抜けると朝風峠。峠からは稲渕の棚田を見下ろせます。棚田の道を下れば、秋には案山子コンテストの案山子が道沿いにずらりと並ぶ「案山子ロード」です。最後は飛鳥川に渡された男綱の下へ。歩く距離は3キロあまりで、帰りは周遊バスの「稲渕」から乗れます。史跡の飛鳥とは違う、里山の飛鳥に出会えるコースです。
SPOT栗原塚穴古墳(文武天皇陵)くりはらつかあなこふん宮内庁が文武天皇の陵とする古墳。考古学の見解とは食い違う。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約15分スポットのページを見る →
SPOT朝風峠あさかぜとうげ明日香村の阪田と稲渕のあいだ、標高約200メートルの峠。竹やぶの細い道を抜けると、稲渕の棚田を見下ろせる。アクセス:近鉄飛鳥駅から徒歩約40分スポットのページを見る →
SPOT稲渕の棚田いなぶちのたなだ日本の棚田百選。秋には巨大な案山子が立つ。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「稲渕」下車徒歩約10分スポットのページを見る →
SPOT男綱おづな飛鳥川の上に渡された稲藁の綱。毎年、成人の日に掛け替えられる。アクセス:近鉄橿原神宮前駅から周遊バス「稲渕」下車すぐスポットのページを見る →
自転車なら、19件を1日でめぐることもできます。飛鳥駅で自転車を借りて③の古墳の丘を回り、天武・持統天皇陵から東へ1キロほどで②の中心エリアへ。飛鳥寺の北から大官大寺跡、山田寺跡へ抜けて④の藤原京を回り、本薬師寺跡で終わる道順です。距離はおよそ17キロが目安。見学の時間を入れると、朝から夕方までかかります。
1日目は③と②。飛鳥駅から古墳の丘を回り、午後に中心エリアへ入って石舞台古墳で締めくくります。四神の館と高松塚壁画館で壁画を見る時間もとれます。
2日目は④の藤原京。藤原宮跡の広い野に立って大和三山を眺め、天香久山まで足を延ばします。飛鳥を見下ろす甘樫丘に登れば、前の日に歩いた場所を上から確かめられます。
構成資産の多くは、田や集落のなかにあります。私有地や田のあぜには入らず、道から見学してください。天武・持統天皇陵のように、墳丘に立ち入れない場所もあります。
足元に何が眠っているかを知って歩くと、同じ草地が違って見えます。19件を順にたどると、宮が定まり、寺が建ち、墓の形が序列を語るようになる――国のしくみができあがっていく百年あまりを、一日か二日で歩きとおすことになります。
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斜面をはさんで残る、古墳の石室が分かれた姿。

かめいし
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